福井市環境基本条例市民案
“エコプランふくい”が福井市環境基本条例市民案を作成
1998年10月
“エコプランふくい”では、7月から活動を続け、条例比較検討会、街頭アンケート、ワークショップ、などを実施し、市民に身近に感じられる環境基本条例の市民案を検討し、ようやく案を作り上げた。
「条例」というと難しいと感じる人が多いなか、環境問題は一部の人だけで解決できる問題ではなく、今問題となっている地方分権や市民参加と密接に関係しているものとして、環境に対する私たちの意識改革と環境保全をすすめる仕組みの大幅な転換を実現させるため、運営委員会での論議が続いた。
まだまだ、論議不足、内容不十分のところもあるが、さらに多くの市民の目でチェックしてもらうことでよりよいものにしていくため、福井市への提案と市民への公表をすることとなった。
ポイントは、
- 政策策定から実行・点検までの市民参加
- 環境政策をすべての基本に据えること
- 市民・事業者・行政の協働ですすめられるPLAN・DO・CHECK・ACTION
以下、市民案の検討でポイントとなった点を挙げ、さらに、意見を求める題材とする。
1.環境政策の基本
まず、人間の「環境権」を明記した。「人間が自然と調和して、健康で生産的な生活を送る権利」(第3条第1項)。
次に、市民の権利を3点にわたり掲げた(第2条)。@環境保全の施策を提案する権利、A適切な措置を講ずることを求める権利、B必要な情報を知る権利
基本理念には、@環境権、A自然と人間との共生、B地域循環型社会の構築、C地球環境保全、D環境優先施策、E市・事業者・市民の協働、とし、ここでも「市民の参加と協働」を組み入れた(第3条)。
基本理念は、それを具体化させることが重要であり、それは基本計画の項目となるべきものである。市民案では、以下の14項目をあげた(第8条)。
- 大気,水,土壌等の自然環境を構成する要素の保全
- 山林,河川,海洋の保全
- 水源地の保全
- 有機農業の推進をすすめ,農地は環境保全の役割を担うという認識のもとに,農地の保全の推進
- 野生生物の種の保存と生物の多様性の確保
- 将来のエネルギー事情を考え,枯渇性資源から更新性資源への変更をすすめ,省エネルギー,小規模ソフトエネルギーの活用の推進
- 資源の再利用や廃棄物を出さない社会をめざして,廃棄物の減量を推進
- 化学物質の生命身体,環境に及ぼす影響についての情報・知識の把握とその対策の推進
- 公害及び新たな環境汚染の防止
- .景観の保護・確保と歴史的文化的遺産の保護
- .CO2削減,フロン回収など地球環境保全に向けた施策の推進
- .環境保全を基底とした,まちづくり,都市計画の推進
- .環境への負荷の少ない循環型の地域社会の構築
- .産業や市民生活と環境が調和のある長期的総合的施策の推進
2.PLAN・DO・CHECK・ACTION
環境基本計画は、前14項目の目標、目標実現の方途、期間を定める(第9条第1・2項)。そして、基本計画を推進するための実施計画を定める(第10条)。
実行(DO)は、市・市民・事業者・民間団体が構成する「環境市民会議」が中心に行われる(第23条)。市役所内には、全庁の「環境調整会議」を頭として実施に移される(第22条)。
点検(CHECK)を行うのは、「年次報告」である。年次報告には、市民が意見を述べることができるし、環境政策審議会の意見を聞かなければならない(第11条第1・2・3項)。市民が参加した点検を行う。
対応(ACTION)は、年次報告から必要となった措置を行うこと(第11条第4項)や、環境市民会議に持ち込まれ対応を検討される(第22条)。
3.市民参加
市民参加は、「市は、市・市民・事業者・民間団体が、地域の環境保全と地球環境保全に関して、協働した行動を推進するため、必要な措置を講じる」(第16条)。
市民は、環境保全に関して、市長に意見を申し出ることができる。申し出は、調査し、環境政策審議会にはかり、適当な措置を行う。その結果は、市民に明らかにされる(第17条)。
そのほか、審議会への参加(第21条第5項)や環境市民会議(第23条)に参加しワーキングチームとして、積極的に責任を持って市民が参画していくこと、このことがこの条例の持つ最大の課題となる。環境保全を市民・事業者・行政のパートナーシップですすめる仕組みを作り上げることである。
市民・事業者は、環境負荷の低減のため必要な場合は、自ら経済的負担を追うこともある(第13条第2項)。パートナーシップは、負担の責任も負うことである。
市民参加の条件である情報提供は、広報誌やケーブルテレビ、インターネット等で広く市民に提供されるべきでしょう(第19条)。
福井市環境基本条例 市民案
目 次
前文
第1章 総則(第1条−第7条)
第2章 基本政策(第8条)
第3章 総合的かつ計画的推進(第9条−第11条)
第4章 推進施策(第12条−第20条)
第5章 推進及び調整体制等(第21条−第24条)
附則
私たち福井市民は,緑豊かな山々と豊富な海産物を有する美しい日本海に囲まれ,九頭竜川,足羽川のもたらす実り豊かな福井平野に住み,豪雪と戦いつつも,第二次大戦時の空襲と大震災や風水害などの大災害を乗り越え,不死鳥の都市を築き上げてきた。
しかしながら,現代社会における大量生産・大量消費・大量廃棄は,生活が豊かになる一方,生活排水による水質汚濁,自動車の排気ガス等による大気汚染,また廃棄物の量や質の多様化など,市民一人ひとりの生活そのものが環境へ多大な負荷を与える結果となっている。さらに,地球の温暖化,オゾン層の破壊などと,人類はもとより万物の生存基盤である地球環境にまで影響を与えている。
私たちは,健康で文化的な生活を確保するにとどまらず,地球のすべての生物の生存を確保するため,良好な地域の環境を築き上げ,環境への負荷を低減し,自然と共生する持続発展可能な社会の実現を目指すことが,次世代に引き継ぐ責任であると認識しなければならない。その実現に向け,私たちは,市,事業者,市民が協働して,環境施策を総合的,効果的に進めていくため,この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は,環境の保全及び創造(以下「環境の保全等」という。)について,基本理念を定め,環境の保全等に関する施策の基本となる事項を定めることにより,環境の保全等に関する施策を市民参画のもとに,総合的かつ計画的に推進し,もって現在及び将来にわたって市民が健康で安全かつ快適な生活を営む上で必要とする良好な環境を確保することを目的とする。
(市民の権利)
第2条 市民は,健康で安全かつ快適な生活を営む権利の実現を図るため,次に掲げる権利を有する。
(1)環境の保全等に関する施策を提案する権利
(2)環境の保全等に関する適切な措置を講ずるよう求める権利
(3)環境の保全等に関する必要な情報を知る権利
(基本理念)
第3条 環境の保全等は,人間が自然と調和して,健康で生産的な生活を送る権利を保証するものとして行わなければならない。
2 環境の保全等は,自然と人間との共生可能な環境の実現をめざし,これを将来の世代へ継承していくことを目的として行わなければならない。
3 環境の保全等は,環境負荷の少ない持続発展可能な地域循環型の社会を構築することを目的として行わなければならない。
4 現代は大量生産・大量消費・大量廃棄が地球環境を危機に陥れていることを認識し,地球環境保全は,市,事業者及び市民のすべての活動において,積極的に推進されなければならない。
5 前4項を達成するためには,市のすべての施策が,環境施策を基底として,これを最大限に尊重して行わなければならない。
6 環境の保全等に関する施策の推進は,市,事業者及び市民の協働をもとに行わなければならない。
(市の役割と責務)
第4条 市は,大規模な事業者,消費者としての立場から,自らの社会経済活動に際して,地球環境問題を含むあらゆる環境の保全に資する取り組みを率先して実行し,自ら行う事業の実施に当たっては環境への負荷を低減するよう積極的に努めなければならない。
2 市は,環境の保全等に関する基本的かつ総合的な施策を策定し,実施しなければならない。
3 市は,施策を策定し,及び事業を実施するに当たり,市民の参加を促進するよう必要な措置を講じなければならない。
4 市は,事業者及び市民の自主的な環境の保全等に関する活動への取り組みを支援しなければならない。
(事業者の役割と責務)
第5条 事業者は,事業活動を行うに当たっては,環境への負荷の低減に努めるとともに,その事業活動に伴って生ずる公害を防止し,又は自然環境を適正に保全するため,その責任において必要な措置を講じなければならない。
2 事業者は,その事業活動に係わる製品その他が使用され,又は廃棄されることによる環境の負荷の低減に努めるとともに,それに関する必要な情報を積極的に公表するよう努めなければならない。
3 事業者は,事業活動を行うに当たっては,再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料,役務等を利用するように努めなければならない。
4 事業者は,地域における環境の保全等に自ら努めるとともに,市が行うこれらの施策に積極的に参加し,協力しなければならない。
(市民の役割と責務)
第6条 市民は,その日常生活において,公害防止その他環境保全に努めなければならない。
2 市民は,その日常生活において,廃棄物の発生の抑制,再生利用その他環境への負荷の低減に努めなければならない。
3 市民は,環境保全に関する自主的な活動に参加又は協力し,環境の保全に努めなければならない。
4 市民は,第2条各号に掲げる市民の権利を積極的に行使するとともに,市と協力して環境の保全に努めなければならない。
(滞在者の役割と責務)
第7条 通勤・通学者及び観光客等の滞在者は,市の環境保全等に関する基本理念を理解し,本市域内における活動に伴う環境への負荷の低減に協力するものとする。
- 基本政策
(基本政策)
第8条 市は,基本理念の実現を図るため,次に掲げる基本政策に基づき,環境の保全等に関する施策を推進するものとする。
(1)大気,水,土壌等の自然環境を構成する要素の保全
(2)山林,河川,海洋の保全
(3)水源地の保全
(4)有機農業の推進をすすめ,農地は環境保全の役割を担うという認識のもとに,農地の保全の推進
(5)野生生物の種の保存と生物の多様性の確保
(6)将来のエネルギー事情を考え,枯渇性資源から更新性資源への変更をすすめ,省エネルギー,小規模ソフトエネル ギーの活用の推進
(7)資源の再利用や廃棄物を出さない社会をめざして,廃棄物の減量を推進
(8)化学物質の生命身体,環境に及ぼす影響についての情報・知識の把握とその対策の推進
(9)公害及び新たな環境汚染の防止
(10)景観の保護・確保と歴史的文化的遺産の保護
(11)CO2削減,フロン回収など地球環境保全に向けた施策の推進
(12)環境保全を基底とした,まちづくり,都市計画の推進
(13)環境への負荷の少ない循環型の地域社会の構築
(14)産業や市民生活と環境が調和のある長期的総合的施策の推進
第2章 総合的かつ計画的推進
(環境基本計画)
第9条 市長は,前条の基本政策を総合的かつ計画的に推進するため,環境基本計画を定めなければならない。
2 環境基本計画は,前条各号の基本政策の目標,並びに目標実現の方途及び期間等について定めるものとする。
3 市長は,環境基本計画を定めるに当たっては,あらかじめ市民に必要な情報を提供し,市民の参加の機会を与えるとともに,環境政策審議会の意見を聞かなければならない。
4 市長は,環境基本計画を定めたときは,速やかにこれを公表しなければならない。
5 前2項の規定は,環境基本計画の変更について準用する。
(実施計画)
第10条 市長は,前条の環境基本計画を推進するため,必要な実施計画を定めなければならない。
(年次報告)
第11条 市長は,環境基本計画の適正な進行管理を図るため,市域の環境の現状及び並びに環境の保全等に関する施策の状況について年次報告書を作成し,これを公表しなければならない。
2 市民は,年次報告書について市長に意見書を提出することができる。
3 市長は,前項の市民の意見書を付した年次報告書について環境政策審議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は,年次報告書について環境政策審議会から意見を受けたときは,その趣旨を尊重し,必要な措置を講ずるものとする。
第3章 推進施策
(規制措置)
第12条 市は,公害を防止するため,公害の原因となる行為に関し,必要な規制の措置を講じなければならない。
2 市は,自然環境の保全を図るため,自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し,必要な規制の措置を講じなければならない。
3 前2項に定めるもののほか,市は,環境の保全上の支障を防止するため,必要な規制の措置を講ずるよう努めるものとする。
(経済的措置)
第13条 市は,事業者,市民及びこれらの者で組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)が行う環境への負荷の低減を図るための設備及び施設の整備その他環境の保全等に資する自発的な活動が促進されるよう,助成その他の措置を講ずるものとする。
2 市は,環境負荷の低減を図るため,特に必要があるときは,事業者及び市民に係わる適正な経済的負担を課する措置を講ずるものとする。この場合において,経済的負担によって予測される政策効果を市民に明らかにするものとする。
3 市は,前項に規定する経済的措置を課そうとするときは,あらかじめ環境政策審議会の意見を聴くとともに,市民の意見を反映するよう必要な措置を講じなければならない。
(環境影響評価)
第14条 市は,開発事業等のうち,環境への影響に関し特に必要があると認められるものについて,事業を行う事業者がその実施に当たり,あらかじめ環境に及ぼす影響を事前に調査し,予測し,又は評価し,その結果に基づきその事業が環境に配慮されたものとなるよう,必要な措置を講じるものとする。
(教育及び学習の推進)
第15条 市は,市民及び事業者の環境保全に関する理解と環境保全活動の促進のため,環境保全に関する教育及び学習の推進を図るものとする。特に,子どもの環境教育を重視し,地域主体の学習の推進を図るものとする。
(市民参加等)
第16条 市は,市,市民,事業者及び民間団体等が,地域の環境の保全等並びに地球環境の保全に関して,協働した行動を推進するため,必要な措置を講じるものとする。
(市民の申し出)
第17条 市民は,環境の保全等に関して市が実施する施策又は講じる措置について,市長に意見を申し出ることができる。
2 市長は,前項に規定する申し出があったときは,速やかに必要な調査を行い,環境政策審議会の意見を聴いて,適当な措置を講じなければならない。
3 市長は,申し出の内容,その処理の経過及び結果を,市民に明らかにするものとする。
(環境監査等の推進)
第18条 市は,環境への負荷の低減に資するため,市自らがらその活動に係わる環境に与える影響の評価,管理及び監査に関する活動を導入しなければならない。
2 市は,環境への負荷の低減に資するため,事業者及び市民が自らその活動に係わる環境に与える影響の評価,管理及び監査に関する活動を支援するため,経済的措置を含め必要な措置を講じるよう努めるものとする。
(普及)
第19条 市は,市民及び事業者に環境基本計画及び実施計画を,広報誌,ケーブルテレビ,インターネット等を使い,わかりやすく周知させなければならない。
(情報収集,調査研究及び情報公開)
第20条 市は,環境保全に関する情報の収集及び調査研究を行うとともに,環境に関する情報の公開に努めなければならない。
第4章 推進及び調整体制等
(環境政策審議会)
第21条 環境保全等に関する施策の推進について調査審議するため,福井市環境政策審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は,次に掲げる事項を調査審議する。
(1)環境基本計画に関すること。
(2)実施計画に関すること。
(3)年次報告書に関すること。
(4)その他環境保全等に関する重要事項
3 審議会は,前項に掲げる事項を調査審議する場合において,必要と認めるときは,環境に関する情報その他の資料の提出を市長に求めることができる。
4 審議会は,環境保全等に関する重要事項について必要と認めるときは,市長その他関係機関に意見を述べることができる。
5 審議会は,市長の委嘱する委員24人以内を持って組織する。この場合において,委員の3分の1は,公募によるものとする。
6 委員会は,原則として公開するものとする。
(環境調整会議)
第22条 市は,市のすべての施策の策定に当たって,必ず環境基本計画及び実施計画との整合性を図るものとし,総合的調整を行う環境調整会議を置く。
(環境市民会議)
第23条 市,市民,事業者及び民間団体等が,協働で環境基本計画及び実施計画を具体化するため,環境市民会議を置く。
(自治体間の協力)
第24条 市は,地域外に環境の負荷を及ぼさないよう努めるとともに,地球環境の保全その他広域的な取り組みが必要とされる環境保全に関する施策の実施に当たっては,国,県及び近隣の市町村と協力してその推進に努めるものとする。
(附則)
この条例に定める諸制度等は,この条例の施行の日から起算して5年以内に検討を加え,その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。